ボルドーワインって、どんなワインなの?
ボルドーワインの味わいは?
この記事で得られること
①ボルドーワインの基礎知識が理解できる
②ボルドーワインの味わいが分かる
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目次
「ワインの女王」ボルドーワインとは?
~ ボルドー地方のワイナリーの写真 ~
ボルドーの優良ワインは写真のような「貴族の館」で造られています
ボルドー地方は、フランス南西部の大西洋岸にある生産地です。
古代ローマ人に占領された紀元1世紀の中頃から、ボルドー地方にブドウ栽培が持ち込まれたと考えられています。
フランス国内でも、ボルドーは中心都市であり観光客も多く、世界遺産に登録されている「サン・タンドレ大聖堂」など、美しい建築物が並ぶ叙情的な街並みも魅力のひとつ。
ブルゴーニュ地方とともに、2大銘醸地として讃えられています。
複数の大きな河川が作った比較的、起伏の小さい土地にぶどう畑が形成されており、地名のボルドー(Bourdeaux)の由来は「水の辺(auboed l'eau)」に起因します。
ボルドー地方では、赤ワイン、ロゼワインが全体の90%、白ワインが10%生産されています。
ボルドーワイン委員会の発表によれば、2020年におけるボルドーワインの輸出量は173万hℓ(2億3,067万本)で、金額にして18億ユーロに上ります。
気候
ボルドー市の緯度は、北緯45度です。
日本では北海道と同じですが、大西洋岸を流れる暖かなメキシコ湾流の影響により、穏やかな海洋性気候です。
ボルドーのワイナリーは「シャトー」と呼ばれ、ワインの女王にふさわしく情緒的な言葉で呼ばれています。
シャトーとは??
もともとは、「城」や「館」を意味する言葉ですが、ブドウ栽培からワインの製造までを一貫して行う「ワイン生産者」を意味する言葉でもあります。
ブルゴーニュ地方で使われる「ドメーヌ」と生産形態としては同じです。
ボルドーの赤ワインの魅力は何といっても、どっしりとした「骨太さ」と、薫り高い「芳醇さ」です。
世界中のワイン愛飲家を虜にする「最も赤ワインらしい味わい」は、ボルドーでの栽培の中心、黒ブドウのカベルネソーヴィニヨン種やメルロー種によって表現されます。
ボルドー地方の、ピレネー山脈から流れ込む「ガロンヌ河」は「砂礫を堆積させて水はけの良い土地」を形成し、中央山地から流れ込む「ドルドーニュ河」は「粘土を堆積させて保湿性の高い土地」を形成します。
参考
それぞれ2つの河川が運んでくる堆積物の違いから、各地域での栽培品種にも違いがあります。
◆ガロンヌ河流域…主にカベルネソーヴィニヨンを栽培
◆ドルドーニュ河流域…主にメルローを栽培
左岸地区のワインの特徴
①主な産地…メドック地区、グラーヴ地区
②カベルネソーヴィニヨンを主体にどっしりとした味わいの長期熟成型のワインを生産
③ワインが持つポテンシャルを開花させるのに長い年月が必要
右岸地区のワインの特徴
①主な産地…サン・テミリオン地区、ポムロール地区
②メルローを主体に柔らかい味わいのワインを生産
③若いうちから楽しめるワインが多い
総じて、ボルドーは長期熟成に耐える高級赤ワインの宝庫です。
赤は、カベルネソーヴィニヨン、メルロー、白はソーヴィニヨンブラン、セミヨンなどの葡萄を2種以上ブレンドして造られます。
どの品種をどの割合で混ぜるかによって、味わいは微妙に変化します。
同じ土壌、品種でも、シャトーによってそれぞれ個性的なワインになるのもそのためです。
そして、シャトーが元詰めするワインが基本ですね。
ボルドー地方の格付け
~ ボルドーの葡萄畑 ~
一般的に、ボルドーの原産地制度は「地方名」「地区名」「村名」の3階級で構成されています。
大土地所有が基本となっているため、原産地制度がブルゴーニュ地方のように細分化されていません。
その代わりに、独自に生産者を格付けすることで品質を守り続けています。
1855年のパリ万国博を機に、ボルドー商工会議所の主導で、メドック地区、ソーテルヌ地区に上級ワインの格付け基準が作成されました。
例えば、メドック地区の赤ワインには、「グランクリュ・クラッセ」と呼ばれる等級が第1級~第5級(全61シャトー)まで存在します。
「グランクリュ・クラッセ」の格付けに漏れた生産者を対象に、1932年にボルドー商工会議所とジロンド県農業会議所が主導のもと「クリュ・ブルジョワ」と呼ばれる階級も発表されました。
クリュ(Cru)とは?
日本語で「銘柄」に相当し、「このシャトーのワインは素晴らしい!」というお墨付きを意味する言葉です。
主な地区の格付けと超優良シャトーは以下になります。
メドック地区 格付け1級シャトー(制定1855年)
★シャトー・ラトゥール(Chāteau Latour) ポイヤック地区
★シャトー・ラフィット・ロートシルト(Chāteau Lafite-Routhschild) ポイヤック地区
★シャトー・ムートン・ロートシルト(Chāteau Mouton Routhschild) ポイヤック地区
★シャトー・オー・ブリオン(Chāteau Haut-Brion) グラーヴ地区
★シャトー・マルゴー(Chāteau Margaux) マルゴー地区
ソーテルヌ地区 格付け特別第1級シャトー(制定1855年)
★シャトー・ディケム(Chāteau d’Yquem)
サン・テミリオン地区 格付け第1特別級Aシャトー(制定2012年)
★シャトー・オーゾンヌ(Chāteau Ausone)
★シャトー・シュヴァル・ブラン(Chāteau Cheval Blanc)
★シャトー・パヴィ(Chāteau Pavie)
★シャトー・アンジェリュス(Chāteau Angelus)
煌びやかな超優良シャトーのワインは、1本数万円~数十万円で販売されています。
そして、超優良シャトーの赤ワインは、20年~30年の熟成を経て飲み頃を迎えるワインも多いのです。
その飲み頃の「見極め」は本当に難しいものです。
飲み頃を見極め、最上のタイミングで楽しめた時の喜びは何にも代えがたいものです。
その至福の喜びこそが、ボルドーワインの一番の魅力ではないでしょうか。
ボルドーの優良年(ヴィンテージ)は?
皆さんも、「ヴィンテージ」という言葉を聞かれたことはないでしょうか?
ヴィンテージとは、葡萄の収穫年を表す言葉です。
ちなみに、「当たり年」と呼ばれる葡萄の出来が良かった年や、「年代物のワイン」を表現する場合にも使われます。
このヴィンテージ、ここで言う「収穫年」の葡萄の出来が良く、ワインの仕上がりが良かった年をまとめました。
ボルドーの当たり年
1995年、1996年、2000年、2005年、2009年、2010年、2015年、2016年
その年の葡萄の作柄を表としてまとめたものを、ヴィンテージ・チャートと呼び、100点式や★マークによる5点式など、様々なもので紹介されています。
参考になるヴィンテージ・チャートを以下にご紹介しておきますね。
ヴィンテージチャート | エノテカ - ワイン通販 (enoteca.co.jp)
ヴィンテージ(収穫年)は、ボルドー地方ではワインの価格を左右するので特に重要視されています。
同じシャトーのワインでも、当たり年と評価された2009年や2015年のワインは、2011年や2013年のワインよりも高値が付きます。
当たり年のワインだと、小規模のシャトーでもかなりの出来栄えが期待できますし、名門シャトーでは、長期熟成に耐えうるワインが出来上がります。
まとめ
今回は、世界の赤ワインの中心になるボルドーワインについて解説しました。
初心者の方から気軽に楽しめる「ボルドー・シュぺリュール(Bordeaux Superieur)」クラスのワインや、「クリュ・ブルジョワ(Cru Bourgeois)」クラスのワインから始められても良いかと思います。
そして、ボルドーワインの魅力に引き込まれた方は、超優良シャトーの超優良年の上級ワインをいつか楽しんでみてくださいね!
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